森の鳥

 

森の中で迷子になって一晩過ごした事があります。 


6月の終わり、午後は長く 

夜の八時位まであちこち歩きましたが 

「今日は帰れないな」と諦めが出てきて 

 森で一晩過ごす覚悟を決めました。



出来るだけ平地の大きな樹の傍を寝場所に決めて

カメラの入ったリュックを布団代わりに寝転びました。

明日もあてもなく歩き回って帰れなかったら・・・。

そんな恐怖で中々寝付く事が出来ませんでした。



そうすると寝転んでいる右側からひゅるるるるーと

鳥の声が聞こえて来ます。

しばらくすると左側の方から答えるようにひゅるるるるー。

この季節は鳥たちの求愛の季節らしく

プロポーズの声かライバル争いの声だったようです。

(この鳥はアカショウビンでした。)


その綺麗な声に私の孤独も和らぎ

聞こえている間不安も消えてくれました。

そして少しの間、眠る事が出来ました。

(翌日、運良く無事帰れました。皆さんもお気を付け下さい。)




森で写真を撮っている間にも感じる鳥たちの気配。

キツツキの樹を突く「コツコツ」「トトトト」音。

枝から枝へ移る羽音。

朝露や雨上がりに濡れる葉が光るような鳴き声。



彼らがそこは安全な場所だと

教えてくれているようで

心がふわっと軽くなるのです。


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