生きる森

 

ずっと命が回り続けて時間が流れ続ける森の中。 



春が来ると森の林冠を埋めるように 

樹々は、新しく始まる1年を生きるため 

枝を伸ばし葉を広げます。


それぞれの樹が自分を活かすため、

輝かせるため自分を広げます。 


隣の樹と葉が重なったら 

太陽の光を受け取れないので

大抵はそこで成長はおしまいです。

殆どの樹は無駄なエネルギーは使いません。 


ただ自分を生きて輝かせる為に

上へ横へ自分を拡げます。





ある樹がツル植物に巻き付かれてしまい、 

ツルが幹を締め付けて

覆いかぶさられてしまっても 

その樹がやがて崩れていっても

互いに死を迎えるその日まで

自分を生きるだけです。


早春すぐに芽を吹き出す種類、 

ゆっくりと起きてくる種類もあれば 

同じ種の中でも紅葉の時期がずれたり 

それぞれが個性的な成長をします。 




それぞれが皆と合わせようとする訳でもなく

皆よりも得をしようと闘う訳でもなく 

自分の在り方で自分の為に生きている姿。 


それは個性となって 

自然と調和のとれた森を創ります。

地球規模の時間を越えていける森を創ります。



肩肘を張らないけれど懸命に生きている姿。 

森の中に居ると穏やかで楽しくなるのは 

そんな樹達のおかげかもしれません。 


心に感じているのはきっとこんな森です。

地球の住人

角野康子

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