温かいもの


雪で近づきにくくなるまでに 

沢山森へ行っておこうと思っているうち、  

森は冬になっていました。 



朝、森へ到着すると霜が降りています。 

苔や落ち葉が白く縁どられていて 

葉はパリっと音を立てそうです。 

いつもはぬかるんでいる足元も緩く凍っています。 





這うようにして進んでいくうちに 

谷にも陽が射して来ました。 


まだまだ冬の入り口だからあっという間に霜も融けます。 

霜の融けた地面から葉の匂いが立ち上ります。 



私の思う陽だまりの匂いは 

ふかふかの土のような積もった葉の匂いです。 


匂いは記憶を蘇らせるそうです。 

それは温かくて優しい、 

遠い記憶の中の懐かしい匂い。 


そう思っている内に 

大好きな人たちの笑顔に重なって来て 

嬉しくなってしまいました。 



寒い季節は温かいものを無意識に探しているのかもしれません。 



森も太陽の光を喜んで吸収しているように見えます。  


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